2022/02/10 06:44

高校の頃から、自他共に認めるバンギャであった。

(バンギャ=ヴィジュアル系バンドの熱心なファン)

地元開催のライブには当然参加、

遠方も必ず参加。

わかりやすくいうと、追っかけだ。


その為、アルバイトで稼ぎ、

ライブ費用、遠征費用、あとプレゼント費用。

稼ぎのほとんどは、バンドに消えた。


だいたい月に10〜15日はライブハウスに居た。

お目当てのバンドは一つとは限らない。

確かに本命はひとつであったが、

根っからの音楽好き、いろんなバンドを見たかった。


足繁くライブに通ってると、

当然顔を覚えられる。

私の対象はデビュー前のいわゆるインディーズで、

ライブ中、その人の前の最前列を

陣取っているのだから、

覚えられるのも当然だ。


入り待ちはしなかったが、出待ちはした。

プレゼントを渡すのと、

サインを貰い写真を撮る為だ。

何も言わずとも自分の名前を書いてくれるサインは、

本当に嬉しかった。


そこまでして「何を目指すのか」と聞かれると、

多分これは人それぞれだろう。

名前と顔を覚えてもらうだけでいい人や、

彼女になりたいと思う人もいる。

私の場合は「一番のファンになること」だった。


二番じゃダメだ。一番のファンと認められたい。

蓮舫議員が「二位じゃダメなんですか?」と

言っていたが、ダメなのである。

完全に自己満足だが、変な向上心だけはあった。


結局のところ、一位になれたかはわからない。

メジャーデビューして、手の届かないところへ

行ってしまったため、諦めざるを得なかった。

嬉しいような悲しいような、

微妙な気持ちでバンギャ生活は幕を閉じた。


気付けば三十路を越え、いい歳になっていた。

友達はみな結婚し、子供を育てている。

急に焦り出した私は、

結婚相談所へと駆け込んだ。


…次回「結婚相談所での出会い」へ続く…