2022/04/01 07:14
高校生の時、割と田舎に住んでいた。
学校までは電車通学で、当時は列車の
本数が少なく、30分に一本だった。
乗り遅れたら確実に遅刻。
その日、寝坊した私は
朝ご飯をかきこみ、駅までダッシュした。
何とか電車には乗れたが、
電車は混んでいた。
その後、起床後の猛ダッシュで、
脳貧血を起こしてしまった。
冷や汗と猛烈な吐き気。
目の前が暗くなる。
寝坊を激しく後悔する余裕もなく、
次の駅で降りようかと悩んでいた。
すると、前に座っていたサラリーマン風の
おじさんが、声をかけてくれた。
「しんどいんやろ?座り」
少し戸惑ったが、お礼を言って
遠慮なく座らせてもらった。
目的の駅まで30分余り。
おじさんは立ったままだった。
だんだん落ち着いてきて、
ふと思った。
確かに具合は悪かったが、
見た目にはそんなにわからないと思う。
毎日顔を見ている訳じゃないのに、
顔色が悪いなどわかるはずもない。
でも、そのおじさんは
私のどこかに異変を感じ、
席を譲ってくれたのだ。
人を観察する力が優れていたのだろう。
とても感動した。
それから私も電車に乗るときは、
極力周りに注意するようになった。
だが、もともと電車に弱い私だ。
周りの心配より、自分の具合が悪くなる方が
確率が高い。
ほぼ何の役にも立っていないが、
そういう心がけは大切だと思い、
日々気を遣いながら生活をしている。
ふとしたきっかけで、
人は変われるものなのだ。