2022/04/08 11:15

以前住んでいたアパート時代の話。

その頃、私は間違いなくアル中だった。

しそ焼酎「鍛高譚」720mlを

毎晩一瓶のペースで飲んでいた。

アルコール20%だった。


婚約が破棄になり、精神が崩壊していた。

不眠症になり、とにかく泥酔して

気絶するように眠る毎日だった。

でも仕事は休まず行っていた。


近所に小さな小さな酒屋があった。

その酒屋は個人経営で、

どうやら息子さんが継いでいるようだった。

いつもパソコンに向かっていて、

何をしているのかはわからなかったが、

買いに行くと小さな店には似つかわしく無い、

POSレジで会計をしてくれた。

その酒屋で持てるだけの鍛高譚を買って、

無くなればまた買いに行く。

その生活を数ヶ月続けた結果、

その小さな酒屋が「鍛高譚は売れる」と

判断したらしい。

大量に仕入れ、かつ、安売りまでしてきた。

これは、POSレジがなせる技だ。

自動的に鍛高譚の売上が急増、

これは売れると判断され、

大量に仕入れて安売りする。

が、買っているのは私だけと、

残りの瓶の数を見てすぐわかった。

なんか申し訳なくなりながら、

その生活を続けていた。


ある時、とても素敵な物件に出会った。

新築マンションで、デザイナーズだ。

残り一部屋と言われ見学に行くと、

家賃の割にとても広くて素敵だ。

即決めして、引っ越しの手配をした。


何事もなく引っ越しできたが、

ふとあの酒屋のことが気になる。

売り上げに影響が出ているだろう。

申し訳ない気分になった。


そしてこの新築デザイナーズマンションでは、

恐ろしいことが起こるのだ。

それはまた別の機会に。