2022/04/14 03:39
電話の相手は母親だ。
市役所で待ち合わせて、
今まで起きたことを話す。
さほど驚いてはなかった。
落ち着いたら連絡すると言って、
私の逃亡生活は始まった。
まず、コンビニに買い物へ行くような
持ち物しか持っていなかったので、
着替えを買った。
そしてその日は家から
少し離れたホテルに泊まる事にした。
フロントに事情を話し、
宿泊していることを伏せてもらう。
その日の記憶は全く無い。
次の日、母親から電話があった。
なんと、相手の親が実家に来たというのだ。
そこでかなりの言い合いになったらしい。
相手の親は、息子が被害者だと、
有る事無い事まくしたてたそうだ。
あまり詳細を話していなかったせいか、
母親は相手の親の言い分を、
すっかり信じてしまっていた。
なんてことをしたんだと、
ひどく罵倒された。
これでもう、自分の両親は
頼れなくなってしまった。
そこからはホテルを転々とする日々。
その間、携帯電話には、
鬼電鬼メールが届いていた。
まだ呪縛が解けていなかったせいか、
返事することはなくても、
メールには目を通していた。
相手のことが気になっていた。
しばらくホテルを転々とし続けていたが、
これはかなり疲れる生活だった。
家のありがたみがわかった。
心底疲れてしまい、
唯一知っているアドレスに連絡した。
謝礼を弾むから、空いている部屋へ
一時的な住まわせてもらえないかと
相談を持ちかけた。
謝礼をくれるなら、と、
借りぐらしを了承された。
……続く……