2022/04/23 13:03
もう15年くらい前の話。
あるバンドの遠征で、
関西から名古屋へ向かった。
とても田舎な町で行われたフェス。
「フェス」と言うとフェスに怒られそうな程、
質素な「音楽祭」だった。
地元のじいさんばあさんや家族連れが
芝生にビニールシートを広げている光景。
推しのバンドはあまり有名ではなく、
こんな田舎まで遠征に来ているのは数人だった。
無事ライブも終わり、名古屋駅へ向かった。
名古屋駅でふと
「そう言えば名物食べてないな」
と思った。
帰りのバスまで少し時間があったし、
バスターミナルのビルに入っている
きしめん屋に入った。
きしめんと親子丼という
ガッツリしたメニューをチョイス。
量が多くて、食べるのに時間がかかってしまった。
なんとか完食してバスターミナルへ向かう。
ここで異変が起きた。
激しい吐き気と震え、目の前が真っ暗になる。
でも、じっと座っていられない。
どうしていいかわからず、
新幹線口に警官が立っているのを思い出した。
困った時は警察。
とにかくそこまで歩いていき、
体調が悪いと伝えた。
警官は無線で何か話した後、
救護室に連れて行ってくれた。
救護室は混雑していて、
ベッドが空いてない。
長椅子に横になり、
身分証明書を出して、
看護してくれる人に体調を伝えた。
顔色が相当悪かったらしく、
とても心配してくれた。
やがてベッドが空き、ゆっくりと横になる。
関西から来ていること、
今から長距離バスに乗ることを伝えた。
すると、看護師さんが
「長距離バスなんてとんでもない!
今すぐ病院に行くか、新幹線で帰りなさい」
と強い口調で言った。
そして、
「バスのチケットは、出発前なら払い戻しができるから、しんどいかもしれないけど行ってきた方がいい」
と言うので、這うようにして払い戻しに。
救護室に戻って少し横になった後、
気分もマシになって来たので帰ることに。
バスは片道2,000円程度だったが、
新幹線は6,000円ほど。
痛い出費になったが、
あのままバスで帰っていたら…と思うと、
助けを求めて良かったと胸を撫で下ろした。
無事自宅に帰り、今日あったことを
思い返す。
看護師さんの的確な判断がなければ、
今頃どうなっていたかわからない。
今度名古屋へ行くことがあれば、
お礼に伺おう。
そう思ってから、久しく名古屋に行っていない。
あの看護師さんもいるかどうか、
わからない。
この場を借りて、お礼を言う。
あの時は助かりました。
本当にありがとうございました。