2023/01/11 05:48

少し前(三年くらいかな)に、

出会い系サイトにハマっていた。

当時は精神的に病みまくっていて、

とりあえず何かに縋りたい、

誰かに必要とされたいと思っていた。

そんな私に、気軽に出会えるサイトは

本当に便利だった。


だが、簡単に出会えるけど

それだけお別れも簡単という事。

会って済ませて次の日にはLINEブロック。

それが当たり前の日常だった。


そんな中、一人の男性に出会った。

髪型かすごく素敵で、

漢っぽくて、他には無いタイプ。

かなりの年下だったが、

すぐに恋してしまった。


出会い系サイトで出会った日に、

長電話をした。

話が面白くて、何時間話したか覚えてない。

けれど、彼は本当の名前を言わなかった。

「たけし」

と名乗ったが偽名だと言っていた。


彼は程なくして自宅に来たが、

いつもの流れではなかった。

いつもは済ませて帰ってブロックなのに、

何も手を出してこない。

少し話をして帰ってしまった。

LINEもブロックされなかった。

ますます好きになった。


それからほとんど毎日長電話をしたり

LINEのやり取りをした。

彼は鶏肉のことを「かしわ」と言う。

そんなところも好きだった。


ある日、たけしがこう言った。

「お前は肉体関係至上主義やろ?

俺は出来ないから、無理やろ?」

どうやら、男性機能がダメらしい。

私にとって、そんなことはどうでも良かった。

ただただ一緒にいたいと思っていた。


そこからたけしは少し変わった。

少し危険なものを買ってこいだの、

金を貸せだの言ってくるようになった。

どれも本気なのかわからなかったが、

少しずつ距離を置くことにした。


なぜ今たけしの話をしたかと言うと、

LINEIDが独特で、

すっかり覚えてしまっていて、

それをふと思い出したからだ。

興味本位で検索したら、

IDは変わってなかった。

懐かしいアイコン。

そしてそこには「T」と名前が書いてあった。


たけしは、本当にたけしだったのかもしれない。