冬、暖房を入れると思い出す事がある。

とても切なくて、何十年経っても忘れられない。

当時、仲良くしていた男性がいた。

私は彼が大好きだった。

彼も満更ではなかったようだが、

定職についていないということで、

お預けをくらっていた。

当時、私はMacのパソコンを使っていたのだが、

Macの勉強がしたいという事で、

平日の朝から彼に部屋を貸していた。

私は仕事に行き、昼休みなどにやりとりしていた。

仕事中も「私の部屋に彼がいる」と、

ウキウキしていた。

「帰ったら彼がいるんだ」と。

仕事が終わり、携帯電話を見ると、

彼から連絡が入っていた。

「家に帰るわ」

その文字を見た瞬間、少し悲しかった。

あと30分いてくれれば、会えたのに。

急いで帰宅したが、彼はいなかった。

ただ、部屋がとても暖かかった。

さっきまで、彼がいたんだ。

その温もりで、とても淋しくて悲しくなった。

それはとても辛い記憶で、

今でも暖房を入れるたびに思い出す。

元気にしているだろうか。

どうか幸せになっていてほしい。